先生から返されたノオト

 周さんは先生から返されたノオトをあけてみて、びっくりした。ノオトは始めから終りまで全部、朱筆が加えられ、たくさんの書落しの箇所が綺麗《きれい》に埋められているばかりか、文法の誤りまで、いちいちこまかく訂正せられているではないか。「それから、もう、毎週、それが続いているのです。」 周さんと私とは...

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藤野先生の解剖学のノオト

 その月光の夜から四、五日経って、何でも仙台に初雪が降った日だったと覚えている。私は学校の帰りに周さんを私の下宿に引っぱって来て、こたつにあたり、まんじゅうを食べながらいろいろ話をして、そのうちに周さんは、妙な笑いを顔に浮べて、周さんの鞄《かばん》からノオトを一冊取り出して私のほうにのべて寄こした。...

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月が出ていた

 月が出ていた。それは、間違いなく記憶している。風景のイムポテンツ同士も、月影にだけは無関心でなかったようである。「僕は、子供の時分から芝居が好きで、」と周さんは静かに語った。「いまでもはっきり覚えていますが、毎年、夏になると母の故郷に遊びに出掛け、その母の実家から船で一里ばかり行ったところに村芝...

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