津田氏も上機嫌《じょうきげん》である

「やあ、おめでとう。」と津田氏も上機嫌《じょうきげん》である。「いろいろ、失礼しています。」と私は、すかさず平素の御無音をついでに謝した。「いや、僕こそ。」と外交官の甥《おい》はさすがに円転|滑脱《かつだつ》である。「あの晩は酔いすぎて、僕はたいへんいけませんでした。あとで、僕は藤野先生に叱られ...

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先生から返されたノオト

 周さんは先生から返されたノオトをあけてみて、びっくりした。ノオトは始めから終りまで全部、朱筆が加えられ、たくさんの書落しの箇所が綺麗《きれい》に埋められているばかりか、文法の誤りまで、いちいちこまかく訂正せられているではないか。「それから、もう、毎週、それが続いているのです。」 周さんと私とは...

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藤野先生の解剖学のノオト

 その月光の夜から四、五日経って、何でも仙台に初雪が降った日だったと覚えている。私は学校の帰りに周さんを私の下宿に引っぱって来て、こたつにあたり、まんじゅうを食べながらいろいろ話をして、そのうちに周さんは、妙な笑いを顔に浮べて、周さんの鞄《かばん》からノオトを一冊取り出して私のほうにのべて寄こした。...

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